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境界(バウンダリー)
境界(バウンダリー)
家族システムの中に境界(バウンダリー)、サブシステム、パワーという視点があり、これらが家族の中に機能しているかどうか考えます。今回は、その中の一つの境界に注目してみます。
◆内と外の境界
家の中と外に境界が保たれてるか。例えば、子どものたまり場になっていて困っている場合、この境界が守られていないことになります。
親が、子ども達に「この家のルールとして、この時間以降は帰ってもらいます」と宣言が通っていれば、夜遅くまでたまり場になることにはなりません。
◆世代間境界
これは、サブシステムが機能しているかにも関わってきますが、子どもにトラブルが起きた時に母親が自分の親(祖母)に相談をして、父親はトラブルについて何も知らされていなかった。あるいは、母親自身の悩みを子どもに相談をして、夫は何も知らされていない等が、境界線破りとなります。
サブシステムとは、家族という大きなシステムの中で、より小さなシステムの単位のことです。夫婦、両親、きょうだいに注目をします。
家族の方の話をお聞きする際、家族システムの視点に注目をしますが、家族の数だけシステムのあり様が違います。子どもの問題について両親で相談しているお宅でも、方向性が揃わないことが多々起きます。価値観は人によって違うのは当たり前ですが、擦り合わせることは難しいようです。そうなると、ファミリーセラピストを自分の味方につけようとする方がいます。もちろん、露骨に味方についてくださいと言うわけではありませんが。
ある父親が「私や祖母が言っても聞く耳を持たないのです」と母親の困りごとを語ります。その言葉の先にセラピストを巻き込みたい気持ちが伝わってきます。子どもの問題に向き合う際、父母でタックを組むのではなく、父と祖母が組んでいます。
また、父母で話し合っていても、「どうしたらいいですか?」と正解を求められることがあります。他の相談機関ではこうしたらどうですかと言われたと説明されますが、その提案を実行に移すまでに至ってなく、目の前にいるセラピストに同じ質問を繰り返しているとわかります。父母でタックを組んでいますが、家族としての方針を外に委ねようとします。確固とした正解がこの世の中にはあり、それを間違えたくないと思っているのかもしれません。何が正解なのかわからないのが、子育てというものです。子どもが、自分から進んで勉強をするようになる方法があるのなら、これだけ多くの学習教材や進学塾、家庭教師が存在することはないでしょう。
両者とも外に権威を求め、内と外の境界が曖昧になっていく印象を受けます。
両親としては、子どものために選択肢を間違えたくない、これ以上悪い状況になることを阻止したいという切実な気持ちはわかりますが、
子どもが頼りにし、向き合って欲しいと願うのは両親です。
親自身が子どものために自分たちの行動を振り返り、視野を広げようと努力し始めると家族に変化が起こり始めます。
その行動は、親が子どもと向き合おう覚悟を決めたのだと思います。
そして、真摯に自分と向き合おうとする親を子どもが感じることができるのでしょう。