ジェノグラム面接
ジェノグラム面接の勧め
ジェノグラムとは、家族を図にして表したものです。
家族を視覚化したものになります。
一度は見たことがあるという方が多いのではないでしょうか。 こんな感じです。
ジェノムラムは、社会福祉の大学生時代から学ぶ機会がありましたが、ジェノグラムから家族の可能性を考えることを知ったのは、京都国際社会福祉センターで家族療法を学んだ時です。そこから、ジェノグラムをを通して家族を見ていくことを重ねていくと、ジェノムラムなしで考えられません。
家族療法が日本で紹介されたのは、ジョン・D・シメオン氏による研修が京都国際社会福祉センターで行われ、対人援助学マガジン編集長の団士郎氏、早樫一男氏が講座を受講し、現在は両氏が「家族理解のための講座」を担当されていて、その講座を受講しています。
ジェノムラムを書きさえすれば、家族のことがよくわかるというものではありません。
ジェノムラムの書き方自体は、さほど難しいものではありません。
□が男性、〇が女性、年齢をその中に書きます。
婚姻関係は実線、内縁の場合は点線で結びます。
きょうだいは、左から順に描きます。
離婚は「//」、別居は「/」で一緒に暮らしている人と線がつながっているように描きます。
一緒に暮らしている人を輪で囲み、三世代描くことを心がけます。
世の中には、いろいろなジェノグラムの描き方がありますが、この書き方でなければ間違いということはありません。
ただ、同じルールでジェノグラムを書き続けていくと、家族理解がしやすくなります。
家族療法では、家族をシステムで見ていきます。その際のポイントを3つあげます。
家族理解の3つのワード
① サブシステム・・・家族の中の小さな単位(夫婦サブシステム、両親サブシステム・
きょうだいサブシステム)がどのように機能しているか
② 境界・・・世代間境界、内と外の境界が保たれているか
③ パワー(決定)・・・権威、決定、支配、管理の側面 誰が決めているのか
詳しく知りたい方は、
団士郎著『対人援助職のための家族理解入門 家族の構造理論を活かす』 中央法規
早樫一男著 『対人援助職のためのジェノグラム入門 家族理解と相談援助に役立つツールの活かし方』 中央法規
早樫一男編著 千葉晃央 寺本紀子著『ジェノグラムを活用した相談面接入門 家族の歴史と物語を対話で紡ぐ』 中央法規
相談を受ける時、問題を起こしている人の行動を変えて欲しいと訴えられ、その人が起こすトラブルを勢いよく話されますが、そこからわかる情報は限られます。
最近起きた出来事なら、その時の会話の流れや感情の動き、トラブルのきっかけ等を聞けますが、古い出来事だと、トラブルの内容のみで終わることが多い。訴えている人にとって、そのトラブルが頭をしめる割合はとても大きく、そこから離れることは難しいことです。
そこで、「家族のことを教えてください」とジェノグラムを描き始めると、家族のことを教えてくれ、ジェノグラムに興味を示す人も多いです。自分の家族を視覚的に眺めながら、家族のことを語る自身の話を聞いて、その人自身の中で家族のことを改めて考えようとします。
家族理解の3つのワードの他にその家族一人ひとりが抱えている不安は何かを考えます。
その時に「アタッチメントシステム」の視点が役立ちます。アタッチメントは、愛着と表現されることもありますが、不安な時に信頼できる相手(子どもの場合は主たる養育者)にくっつきにいけ、気持ちを落ち着かせてもらえるかどうかを意識して話を聞いていきます。
その他、ジェノグラムから家族の物語を考えます。父母が何歳で子どもを産んでいるか、父母やきょだいの年齢差、誰と一緒に暮らしているかという事柄からその家族の物語が立ち上がっていきます。
例にあげた家族なら、35歳の母、29歳の父、7歳の娘さんは前夫との間の子ども、現夫との間に3歳、1歳の男兄弟がいます。7歳の子は、母が28歳の時の子。それまでは、母は働いていたと考えるのが妥当でしょう。6歳年下の夫とは、どこで知り合ったのか気になります。7歳の子が実父と暮らしていた期間、母子になった期間、継父との出逢いはどのようなものだったのでしょう。母の両親も離婚しています。10歳下の妹の存在。29歳の父の両親も離婚していて、父に育てられています。母と父の祖父母は、近くに住んでいるのでしょうか、どの程度の交流があるのでしょうか。
気になったことを質問しながら、この家族に何が起きてきたのか、そして5年後、10年後どうなっていたいと思っているか一緒に考えていきます。
ジェノグラムを描けるようになれば、家族のことがすぐにわかるわけではありませんが、家族を見る視点を養っていくとジェノグラムから気になる点がいくつも出てきます。
人は、聞かれないことは自分から話をしませんが、聞いて欲しいことを質問されれば雄弁になりますし、よく聞いてもらえ、わかってもらえたと感じます。
そして、未来に向けて共に試行錯誤できることが大事なことになると実感しています。