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2025-10-31 21:18:00

親パワーの賞味期限

 

親パワーの賞味期限

 

 生物から見た親子関係は命ある限り続きますが、親が子を護る関係はいつまで続くべきなのか考えさせられる相談を受ける機会が増えたように感じています。

 

 外敵から我が子を守ろうとして親が盾になって子どもを抱え込みたくなる衝動が起こる気持ちもわかりますが、それが長い目で見て子どもにどのような影響を与えているでしょうか。

 

 例えば、衛生管理。日本は、とても清潔な空間が保たれていますが、いろいろな菌を恐れて消毒し過ぎて免疫力が低下していると言われています。子どもの数が減少して、大人の目が子ども達を捉えることが以前よりも容易になっているのかも知れません。子ども同士のトラブルで、親同士が話し合って解決したという話を聞くことがあります。子どもも含めて話し合っているのならわかりますが、「あなたは何も心配しなくていいの、お母さんがちゃんと解決してくるから家でまっていなさい」と子どもが蚊帳の外に追いやられていたと聞いて驚きました。自分身に起こったトラブルが知らない間になくなっていたという経験から、子どもは何を学ぶのでしょうか。

 私自身がその子どもの立場なら、無力で自分では何も解決できないと自信を失くすのではないかと感じます。次にトラブルに見舞われたら、親に話して解決してもらおうとするのか、それとも親にバレないように口を噤むようになるでしょうか。どちらにしても社会の中で生きていく力は育ちません。

 

 ある親御さんは、子どもにしょうがいがあると診断され、療育や放課後等ディサービスの利用を拒みました。その理由は、「家に居た方が、この子が傷つかないから」でした。そして、その子はだんだんと学校に行かなくなり、高校中退をし、家から出ようとしなくなり、今後に不安を感じると相談に来られました。

 

 親が高齢になっても親子関係のトラブルは起こります。父親は他界し、母親が80歳を超え、検査入院が必要になりましたが、一緒に住んでいる53歳の息子は、独身で無職、サービス関係者とも話そうとしません。母親も子どもの事が心配だからかと検査入院の日取りを決めようとしません。子どもは以前に働いていたこともあるようですが、結婚歴はなく、家を出て一人暮らしの経験もないそうです。子どもが心配とのことですが、息子さんは53歳です。もう子どもではありません。いつまで親に守られる子どものポジションでい続けるのでしょうか。

 

親が自分の事よりも子どもを優先して暮らす時期もありますが、子どもが自分の足で生きていける道筋を潰してはならないと感じます。子どもが巣立っていく寂しさや心配、不安は親自身が受け入れていかないとならないものです。子どもをいつまでも引き留めてはならない。子どもが小さいうちにいっぱい失敗をし、困ったら助けを求められる経験を積んでいくことが、子どもの生きていく術になります。

 

 親の役割は、子どもが生まれたての頃は命を守る行動をしていきますが、だんだんと巣立たせるための道を導くものになります。子どもを傷つけないように子どもの前に立ち続けていたら、いつか賞味期限切れになり子どもにいい影響を与えなくなっていくことを覚えておきたいと感じます。