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パワー
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前々回は家族システムの境界(バウンダリー)、前回はサブシステムについて書きました。今回は、パワーについて紹介します。
パワーは、文字通り「家族の中の力量」について注目することになります。パワーというと家父長制度のようなものを想像するでしょうか。それも一つの形です。家族の中の選択肢がどのように決まっていくか考えてみてください。今の時代は、誰かの一存だけで決められることは少なくなっています。とても強い祖父や祖母が存在する家族もありますが、減少傾向にあるようです。
あなたの家族は、子どもの進学や就職を決める時、何を優先しますか。子どもの意志、親の希望、世間体、いろいろな要素に影響を受けるものですが、どの部分の割合が高くなるかは、それぞれの家庭で違います。
家族としての選択肢に「お金」が深く関与することがあります。現代社会は、どれぐらいお金を持っているかで、生活のモノの豊かさが変わってきます。安定した賃金が得られる会社に入るためには、勉強をしていい大学に受かることが大切だと感じている方は多いでしょう。若い時に勉強が嫌いでしなかったという人でも、大人になってからもっと勉強をしておけば良かったと後悔し、子どもには勉強をさせようと躍起になっている方を見かけます。親になると、子どもの時の気持ちをどこかに置いてきてしまうようです。
その時世を受けてか、子どもが大金を使ってしまうという相談を耳にすることが増えている印象を受けています。そのお金の使い道は、ブランド品の購入や推し活に使う等、目新しさはありませんが、何十万という額の大きさに驚かされます。親も子どもが大金を使うことを好みません。子どもに大金を使わせないようにしますが、お金を渡さないと、悪い関係に引きずり込まれるのではないかと不安になり、最終的にお金を渡してしまう。これが繰り返されると、暴力と同じで、どんどん要求する金額がエスカレートしていきます。
この場合は、お金を握っているのは親ですが、出させる方法を子どもは心得て、子どもの方が親よりもパワーが強くなっています。親は子どもを護るべきものですが、逆転現象が起こっています。
時代の変化と共に、腕力や財力を持っている人が、パワーを持てるという単純なものではなくなってきています。時には、被害者であることをアピールすることで、周りをコントロールする人もいます。悲劇のヒロインなので、特別扱いされることを望みます。
家族のパワーを見ようとする時、複雑な関係性を紐解きながら、お金がどのように巡っているのかを見ようとすることが大切です。人が集まれば、必ず関係性が生まれます。先ほどの子どもが大金を使う例でも、親に自分を子どもとして護って欲しいと願っているのではないかと感じる時があります。親は、どのような理屈を並べても、ダメなものはダメなのだと伝えるパワーがいるのでしょう。子どもの意志を尊重することも大切ですが、どこからがダメなのかを明確に伝えていくことは、親の責任なのだろうと感じています。